『シノハラプレシジョン』〜ザ・レイバー・インダストリーより〜
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「ザ・レイバー・インダストリー」誌面に掲載された、レイバーの脚部機構図です。今回はメカニック考証という立場で内部構造図を描き起こしました。
その際に考えたのは現在のロボット技術と、レイバー世界での基礎技術の違いを埋める事です。一番違っているのは何か?それはアクチュエーターの在り方です。現在のロボットの関節は基本的にラジコンのサーボのように回転運動をするモーターで構成されていますが、これではパッシブな負荷がかかった時に軸で受け止める事の出来るエネルギーに限界があります。取っ組み合いをするような機械には厳しい面がある訳ですね。ではどうすれば良いか?という事で、大きな負荷のかかる関節には直線運動をするアクチュエーター、リニアモーター(直動モーション)を併用する事にしました。リニア、というといきなり未来的な響きに聞こえますが、単に直線運動をするモーターと考えて頂ければ良いと思います。現代の乗り物ですと地下鉄大江戸線がこの機構で動いています。レイバー世界では、上記の直動モーションを小型のシリンダーにパッケージングしたものが規格部品として流通している、という考え方です。今回その製造元として「シノハラプレシジョン」なる会社を想定しました。篠原重工の系列会社であるこのメーカーは、物の大小を問わず回転式、直動式様々な形状のアクチュエーターを提供していて、誰でも自由に組み合わせて使える販売体制を整えています。各アクチエーターは電気部品なのでダイオードのように対応電荷に応じてカラーバーが入っています。イングラムの流れを組むレイバーには、主要関節にこのシノハラプレシジョン製直動機3本1組で構成される関節ユニットを与えました。3軸あれば最低限の自由面を構成する事ができる訳で、単純に1自由度の表現を多彩な動きにする為の配慮です。更に各関節のアクチュエーターはモーターそのものですから、電気の出力時には起動し、入力時にはサスペンションとして減衰コントロールをしつつ発電までしてしまう優れもの、というところまで考えました。電気は様々な形に変換され、必用に応じて行ったり来たりする訳です。

ところで、ロボットは関節の動きがそのまま駆動に繋がるのでこんな考え方もできる訳ですが、現実の世界に目を戻すと、偶然にも今年のF-1には回生システムを利用した電力再利用加速装置が組み込まれるそうです。(KERS/運動エネルギー回生システム)
車の動力の基本は回転運動ですし、もちろん駆動系とサスペンションは別の機構です。回生システムはブレーキ廻りに発生する熱エネルギーをバッテリーに還元するシンプルなものですが、F-1の世界にもハイブリッド化の波は押し寄せているという事でしょう。この大いなる実験場で、新システムがどの程度効果を発揮するのか、とても興味深いところです。
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by koike_terumasa | 2009-03-12 12:11 | 書籍
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